東日本大震災アーカイブ

がれき撤去始まる 南相馬市小高 避難区域の沿岸部で初めて

避難区域の沿岸部で始まった災害がれきの撤去作業=南相馬市小高区塚原地区

 東京電力福島第一原発事故の避難区域に残る東日本大震災で出た災害がれきの処理で、環境省は1日、避難指示解除準備区域にある南相馬市小高区の塚原地区でがれきの撤去作業を始めた。避難区域の沿岸部のがれき撤去は初めて。
 初日は、津波で被災した塚原地区の農地に集められた材木やコンクリートなどを重機でより分けたほか、作業員が材木からくぎを抜くなどして分別した。今後、地区内の仮置き場に運び入れる。塚原行政区長の今野由喜さん(62)は「ようやくここまできた。実感として目に見える形で、復旧が進むことを期待したい」と話した。
 同省によると、沿岸部の避難区域にある災害がれきは南相馬、浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉の6市町で計47万4千トンに上る。このうち、南相馬市では18万3千トンを5カ所計31ヘクタールの仮置き場に運び入れる。
 同省はがれきの仮置き場を南相馬市のほか、楢葉町で2カ所確保したが、浪江、大熊、富岡の3町は協議中で、双葉町は未定のまま。可燃物を焼却する仮設焼却炉は南相馬市で唯一候補地を示し、平成26年2月の焼却開始を予定している。
 ただ、仮置き場の確保が進んでいないことから、避難区域のがれき処理は、国が目標としている今年3月末までの仮置き場への搬入完了と平成26年3月末までに処理を終える計画は困難な見通しとなっている。さらに、仮置き場からの搬出先となる中間貯蔵施設設置についても協議が難航している。