東日本大震災アーカイブ

「住民分断で苦痛」と請求 伊達の特定避難勧奨地点

 東京電力福島第一原発事故の賠償問題で特定避難勧奨地点の指定をめぐりコミュニティーが分断されて精神的苦痛を受けたとして、伊達市の非指定の住民約1000人は5日、政府の原子力損害賠償紛争センターに和解仲介を申し立てた。弁護団と住民の代表者は同日、県庁で記者会見した。
 この日、申立書を提出したのは伊達市霊山町小国地区と坂ノ上・八木平地区、同市月舘町相葭地区の323世帯、991人。特定避難勧奨地点に指定された地区の住民の申し立ては初めて。
 住民らは放射線によって従来の生活を送れなくなり、精神的苦痛を受けたとして、東電に対し指定世帯と同水準の平成23年3月11日から和解成立まで1人当たり月10万円の慰謝料の支払いを求めた。請求金額は総額20億円規模となる。
 米正剛団長代行ら原発被災者弁護団は「生活圏は地区の住民全て一緒。指定に差が生じたのはおかしい」と話し、国が指定した特定避難勧奨地点の是非を問う賠償との認識を示した。小国地区復興委員会の大波栄之助委員長は「同一地区の住民に差別があってはならない。申し立てたことで、ようやくスタートラインに立てた」と話した。
 特定避難勧奨地点は「ホットスポット」として政府が指定。伊達市では128世帯が対象だったが、昨年12月に線量が下がったとして解除した。

カテゴリー:福島第一原発事故