東日本大震災アーカイブ

正確な情報、各国で発信 福島で在外県人会サミット開幕

世界各国から本県に集い、佐藤知事と古里の復興などについて意見交換した県人会サミット参加者=5日午後、知事公館

 世界9カ国から19の県人会関係者が県内に集う初の「在外県人会サミット」は5日、開幕した。初日は参加者と佐藤雄平知事が福島市で意見交換し、本県の復旧・復興についての正確な情報を各国で発信することを申し合わせた。世界に広がる県人会のネットワークを生かし、東京電力福島第一原発事故による本県の風評払拭(ふっしょく)に全力を挙げる。佐藤知事は、国内外への情報発信の強化に努める考えを示した。
 知事公館で開かれた意見交換会には、県人会の代表約20人が臨んだ。佐藤知事は原発事故の風評被害が依然として続いている現状を説明。除染による環境回復、食品の放射性物質検査など安全・安心確保に向けた取り組みを紹介し、各国で本県の現状を正しくアピールするよう要請した。
 これに対し、県人会側からは各国で住民や団体と連携し、本県についての正しい現状を発信することで県内への来訪者増加などにつなげるべきだとする意見が相次いだ。
 上海県人会(中国)の野地義重会長は、22日に県人会の会合を開き、現地での風評被害対策を協議することを明らかにした。
 ロンドンしゃくなげ会(英国)の満山喜郎会長は昨年、ロンドン市街に開園した「福島庭園」を拠点に、世界各国からの来訪者に本県復興をアピールする考えを示した。
 シアトル県人会(米国)のパトリシア・ヤマダ書記は今回、視察する被災地の状況や除染など環境回復の取り組みを伝えていくと約束。大連県人会(中国)の草野昌谷会長は、県人会と知人・友人を通じて本県の復興に向けた明るい話題を口コミで伝えていく方法を提案した。
 一方、原発事故により県人会活動に変化が起きたとの報告もあった。南加県人会(米国)の紙本正光会長は、今後の原子力政策について県人会で議論を重ねていくことを明らかにした。