9カ国の19県人会関係者が集う「在外県人会サミット」が開幕した5日、「古里」の地に立った世界各国の県人は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で傷ついた本県を支える思いをあらためて確認した。長引く避難生活や放射性物質、風評被害...。今なお県民を苦しめるさまざまな課題を前に、県人の絆がより強まる。
アルゼンチンの在亜県人会長の高橋靖宏さん(69)は「福島県を支援するため、世界の県人同士のつながりが欠かせない」とサミットの意義を強調した。
震災、原発事故が発生し、出身の福島市をはじめ県内のことが心配でたまらなかった。地球の反対側から、すぐには向かうことができない自分がもどかしかった。自分の古里は一体どうなってしまったのか-。深刻なニュースばかりが流れる中で、暗い気持ちばかりが湧き上がった。
しかし、サミット出席のため久しぶりに訪れた生まれ故郷で印象が変わった。再会した妹夫婦から生活ぶりなどの話を聞くうちに、厳しい状況の中でも必死に前進しようとする県民の姿を感じ取った。花卉(かき)栽培の傍ら日本語講師として教壇に立つ地元の大学の学生らに、本当の福島県の状況を伝える責任を感じた。
震災後、「古里のために何かしたい」と、県人会を通じて県民への募金活動に取り組んだ。次第に支援の輪が日系人社会、一般のアルゼンチン人へと広がった。「福島県への思いは、アルゼンチンから世界にきっとつなげていけるはず」と確信している。
(カテゴリー:福島第一原発事故)