東日本大震災アーカイブ

国が責任持ち継続支援 規制委員会が県民健康調査在り方提言

 東京電力福島第一原発事故を受けて県が実施している県民健康管理調査について、原子力規制委員会(田中俊一委員長・福島市出身)は6日、「国が責任を持って継続的な支援を行う必要がある」などとする県民健康管理調査の在り方に関する提言をまとめた。近く国に提出する。
 提言では、原発事故に伴う健康管理が大規模で長期間にわたる取り組みであることから、国が責任を持って調査への継続的な支援を行う必要性を明記。「国は県や市町村、地域の医療機関と連携し、持続性のある調査とすべき」とした。
 県医師会からは「健康支援について国による拠点を設置すべき」との要望が出ていたが、提言では参考として付記されるにとどまった。
 提言は調査の現状について、「基本となる被ばく線量の把握が一部にとどまっている」と指摘。事故後の行動を記録し、外部被ばく線量を推計するための問診票の回収率が低いことから、「行動調査を徹底し、個人ごとの被ばく線量をできるだけ正確に推計すべき」と求めた。積算個人線量計を使い、被ばく線量を継続的に実測する必要性も強調した。
 また、事故による住民の内部被ばく線量が極めて微量であるとして、今後は放射線の健康影響に関する住民の不安を軽減するため、啓もうに積極的に取り組むべきとしている。
 田中委員長は会議で、「(調査は)被災者の立場に立ち、具体的に実行してほしい」と述べた。
 提言について、県県民健康管理調査室は「(提言での指摘を踏まえ)県民に寄り添った調査に努めるとともに、国に対してもしっかりと支援してもらえるよう、引き続き要請する」とした。


【原子力規制委員会の県民健康管理調査に関する提言の概要】

・行動調査を徹底し、正確な被ばく線量を推定すべき。
・積算個人線量計で継続的に実測し、記録を残すべき。
・甲状腺の超音波検査の実施結果を定期的に評価しつつ、必要に応じた健診を実施すべき。
・避難や屋外運動自粛に伴う生活習慣病対策、こころの健康調査などを充実すべき。
・被ばくに関する県民の不安を軽減するため、放射線の健康影響に関する知識の啓もうに積極的に取り組むべき。
・国が責任を持って継続的な支援を行う必要がある。
・今後の健康管理は被ばくに関する医学的・放射線生物学的知見に基づき行う必要がある。

カテゴリー:福島第一原発事故