東京電力福島第一原発事故から2年となった11日、広瀬直己東電社長は楢葉町のJヴィレッジ内の福島復興本社で役員、社員に訓示し、「私たちの取り組みの原点は福島にある」として賠償や除染、廃炉に向けた取り組みに全力を注ぐ考えを強調した。
「原発事故後、2年の長きにわたって(県民に)大変なご苦労、ご迷惑、ご心配を掛けていることを心からおわびする」と冒頭で謝罪。その上で「私たちの取り組みの原点は福島にある。社員一人一人が心にしっかりと刻み、それぞれの立場で賠償や除染、廃炉に向けて何ができるのかを考え、取り組んでほしい」と求めた。
石崎芳行副社長(福島復興本社代表)は「東電は原発事故で社会の信頼を失った。なぜ社会は東電の取り組みを理解してくれないのかと考えるのではなく、まずは東電が社会を、福島を理解しなければならい」と指摘。多くの社員が来県して現状を知り、実態に即した復興支援に取り組む必要性を説いた。
広瀬社長と石崎副社長は訓示後、記者会見した。原発事故の収束作業について、広瀬社長は原子炉への注水システムなどが整い、冷温停止状態を維持している状況などに触れ、「この2年間で最低限の部分はできている」との認識を示した。その上で、11月にも始める4号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しを最重要課題に挙げ「安全を確保しつつ、しっかりとスタートさせたい」とした。
財物賠償の早期開始を目指す考えも示した。
訓示に先立ち、広瀬社長、石崎副社長と役員、社員約50人が午後2時46分に黙とうし、震災犠牲者を悼んだ。
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