東日本大震災アーカイブ

浪江町遺族会に初の和解案提示 原子力紛争解決センター

 東京電力福島第一原発事故の影響で救助・捜索活動が遅れて精神的な苦痛を受けたとして、東電に慰謝料の支払いを求めている東日本大震災浪江町遺族会に対し、和解仲介を担う政府の原子力損害賠償紛争解決センターは3日、初めて和解案を提示した。同日の第2回口頭審理で示した。
 遺族会代理人によると、和解案は原発事故で救助・捜索が遅れたことを認めた上で、慰謝料は犠牲者本人を基準に(1)父母、子の一親等と配偶者が60万円(2)孫などの二親等が40万円(3)一、二親等以外の親族を20万円とした。東電は申立人単位での慰謝料の支払いを提示していたが、センターは遺族会が求めていた犠牲者単位の支払い方式を採用した。遺族会が求めた一人当たり一律1100万円の請求は減額した。
 遺族会は犠牲者164人の遺族合わせて303人分の慰謝料として総額52億6900万円を東電に求めている。遺族会の叶谷守久会長は「金額面は納得できないが、遺族の苦しみを理解してもらえた」と一定の評価をした。
 審理は非公開で、遺族会側から会員7人、代理人2人、東電側から職員2人、代理人4人が出席した。第3回口頭審理は5月22日で、センターが正式な和解条項を示す予定。

カテゴリー:福島第一原発事故