東日本大震災アーカイブ

いわきにメーン拠点 双葉町「仮の町」

 双葉町の町外コミュニティー(仮の町)の在り方を検討している町復興まちづくり委員会は、いわき市をメーン拠点とする方向で最終調整に入った。3日、埼玉県加須市で開かれた委員会で示した。郡山、南相馬両市を第二、第三候補とした。まとまった避難者がいる福島、白河、埼玉県加須、茨城県つくばの各市を町民コミュニティーの拠点と位置付ける。井戸川克隆前町長は一カ所に仮の町を設ける「集中型」を希望していたが、委員会は「分散型」が妥当と判断した。

■郡山、南相馬も候補

 町復興まちづくり委員会は、2月5日に復興庁が発表した町の住民意向調査の結果で、仮の町の設置場所として、いわき市を希望する町民が最も多く、次いで郡山、南相馬両市だったことなどからメーン拠点の候補とした。意向調査結果を基に、いわき市には最大で400戸800人程度の災害公営住宅のニーズがあると推計。郡山、南相馬両市への希望はそれぞれ最大で100戸200人程度と見込んだ。福島、白河、加須、つくば各市への公営住宅希望は最大で30戸から50戸、60人から100人程度になるとみている。
 仮の町のイメージでは、メーン拠点には、受け入れ自治体との協議を前提とした上で、災害公営住宅、役場、店舗、病院、介護施設、小中学校、幼稚園などを整備する。メーン拠点以外で、一定の居住希望がある市町村には、災害公営住宅のほか、集会所などを設ける。
 福島、白河、埼玉県加須、茨城県つくばの各市のコミュニティー拠点には、希望する町民がまとまって入居できる住宅確保を目指す。
 同町の仮の町整備をめぐっては、井戸川克隆前町長が一カ所につくる「集中型」を希望してきた経緯がある。委員会は3年以内に仮の町の整備を求める町民の声が多いことや町民に複数の生活拠点の選択肢を示す必要性などを考慮し、複数市町村に複数の地区を設ける分散型の整備が適当とした。
 委員からは「住民意向調査は現在の町民の思い。早急に仮の町を整備しなければ町民の考えも変わる」「仮の町に施設を造れば、町に帰還する町民はいなくなるのではないか」などの意見が出された。
 委員会は24日に開かれる次回の委員会で復興計画素案に盛り込む方針。素案を基に復興計画案をまとめ、5月にも伊沢史朗町長に提出する予定だ。
 町は委員会の復興計画案を尊重する方針で、伊沢町長は「提出された時点で議会と協議して判断したい」と述べた。
 町は埼玉県加須市にある町埼玉支所については残す方針を示している。

カテゴリー:福島第一原発事故