県内の公立小中学校、県立高校で入学式が行われた8日、東京電力福島第一原発事故で県外に避難し、入学を機に本県に戻った新入児童・生徒は友人らと一緒に新生活のスタートを切った。公立小中学校教員の新採用が2年ぶりに再開され、教壇に立つ新任の先生は児童・生徒を全力で支える決意を新たにした。
■楢葉中・駒林弥桜さん 看護師への決意固める
「友達と一緒に思い出をたくさんつくりたい」。いわき市中央台に仮設校舎を設けている楢葉中に入学した楢葉町の駒林弥桜(みお)さん(12)は、入学式で懐かしい旧友と再会し笑みをこぼした。
原発事故発生以降、家族みんなで岩手県釜石市の父尉伸さん(38)の実家で避難生活を続けてきた。地元の小学校に通ったが、町の友達と会えないのは寂しくてたまらなかった。「町の友達がいる学校に移りたい」。何度も両親にせがんだ。
楢葉町出身の母園絵さん(40)は釜石市で暮らしていても町の情報収集を欠かさなかった。園絵さんの両親が住むいわき市の仮設住宅に入居できるあてが付いたのを機に、弥桜さんの願いを受け入れ、家族で県内に戻った。
初めての仮設住宅での生活に弥桜さんは戸惑いも感じるが、今は仲の良い友達と学校生活を送れる喜びの方がずっと大きい。初めて古里を離れて生活し、生まれ育った地域のよさをあらためて感じた。「いつかまた思い出が詰まった楢葉町に戻りたい」。希望を持ちながら、看護師になる夢に向かって勉強に励む決意を固めた。
県災害対策本部によると、3月7日現在で県外への避難者数は5万6920人。ピークだった昨年1月26日現在の6万2808人と比べると6000人近くが県内に戻ったが、依然として15万5453人が県内外で避難生活を送っている。
(カテゴリー:福島第一原発事故)