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汚染水、地上タンクへ 東電が福島第一原発で。貯水槽の使用中止

 東京電力福島第一原発内の地下貯水槽から汚染水漏れが相次いだ問題で、東電の広瀬直己社長は10日、地下貯水槽にある汚染水約2万3600トンを地上のタンクに移送する方針を明らかにした。14日に移送を始め、タンクの増設を前倒しして6月初めにも移し終える。広瀬社長は七つの貯水槽の使用中止も表明し、東電の汚染水保管計画は、根底から見直しが迫られる形となった。

■貯水槽の使用中止

 広瀬社長が10日に福島復興本社(楢葉町)で記者会見し、七つの貯水槽の使用継続について「漏水の原因はまだ分からないが、普通に考えれば(使用は)難しい」と述べ、全ての使用を中止し、地上のタンクに移す方針を示した。現在、地下貯水槽1、2、3、4、6号には合わせて2万6600トンの汚染水がある。このうち、汚染レベルが低い海水を保管する4号の3000トンは当面保管を継続するが、将来的に移送する。
 広瀬社長が発表した移送計画では、現在、1、2、3、6号に汚染水が計2万3600トンあり、漏えいが確認された1~3号のうち、1、2号の水7100トンを5月上旬までに、ろ過水タンクなど既存のタンクへ移し替える。5月中に鋼鉄製のタンク19基(一基当たり千トン=計1万9千トン)を増設し、2号からの現在の移送先となっている6号と、3号の水を移す。
 タンクへ移送するまでの間、貯水槽からの汚染水漏えい対策として、既に漏えいが確認された貯水槽では防水シートの間に漏れ出した水を抜き取って貯水槽に戻して拡散を防ぐ。地中や海への漏えいを監視するため、七つの貯水槽周辺や海側の地中に合わせて30カ所の観測用の穴を設ける。
 ただ、大量の汚染水を移送する際の水漏れの可能性など、リスクは拭い切れない。東電によると、移送には緊急を要するため、金属製ではない耐圧ホースを使う。これまでにも同原発内で水漏れをしたタイプで、万が一、水漏れした場合、土のうを積むなどの対策を取るとしている。
 記者会見で相沢善吾副社長は「輸送中の水漏れは最も大きなリスク」とした上で、「配管の継ぎ手などに注意し、漏水しないよう最大限の注意を払う」と述べた。
 東電は10日、最初の漏えいが確認された2号の移送先の1号でも、三層の防水シートの最も外側にある水漏れ探知用の穴で、微量の放射性物質が検出されたと発表し、土壌への漏えいの可能性が高まった。

カテゴリー:福島第一原発事故