東日本大震災アーカイブ

移送直後配管から漏れる 汚染水22リットル、事前検査せず

 東京電力は11日、福島第一原発内で汚染水漏れが判明した3号貯水槽から6号貯水槽に水の移送を開始した際、ポンプと配管の接続部から水が漏れたため、移送を中止したと発表した。ポンプと配管の使用は今回が初めてだが、事前に漏えい検査はしていなかった。
 漏えいした量は約22リットルで、放射性物質濃度は1立方センチ当たり約29万ベクレル。東電は接続部の漏水箇所を復旧した。12日朝にも移送を再開するという。
 東電によると、11日午後2時に移送を始めたが、3分後に3号貯水槽のポンプと配管との接続部分から水が漏れた。ポンプは貯水槽上部の覆土部分にあり、水は土壌に染み込んだ。汚染された土壌部分は既に除去したが、覆土の地表面の放射線量は毎時28ミリシーベルトと高く、さらなる土の除去を検討する。
 ポンプと配管はいずれも金属製で、昨年12月の貯水槽設置に合わせて取り付けられた。東電が接続部分を分解して原因を調べた結果、ゴム製パッキンに小さなごみが付着していたため、密着性が悪くなり、水漏れしたことが分かった。パッキンを交換して復旧した。
 第一原発では1~3号の地下貯水槽で汚染水漏れが相次ぎ、東電は10日、7つの地下貯水槽の使用中止と地上タンクへ水を移送する計画を発表した。このうち、3号貯水槽に貯水されている1万400トンについては、2000トンを6号貯水槽に一度移した上でタンクに、残る8400トンは直接タンクに移す予定となっている。
 東電は移送を6月初旬に終える予定で、「今回の水漏れはすぐ復旧したため、計画には直接影響しない」としている。
 県は11日、「汚染水移送のリスクがあらためて露呈した。安全性に細心の注意を払ってもらいたい」と東電側に申し入れた。原子力規制庁も作業を慎重に進めるよう要請した。

カテゴリー:福島第一原発事故