東日本大震災アーカイブ

検閲式地元でしたい 浪江町消防団長 佐々木さん

町内の防火パレードの写真を見詰める佐々木さん

 浪江町から本宮市の借り上げ住宅に避難している町消防団長の佐々木保彦さん(65)は町内での防火パレードの写真を見詰めながら、深いため息をついた。「1日でも早く除染が終わり、古里で検閲式をしたい」
 佐々木さんの自宅があった町内昼曽根地区は帰還困難区域となった。震災後は一団員として町民の避難などに奔走。自宅の天井が損壊し、雨漏りしていたが、約1カ月間は帰宅できなかった。このため自宅の傷みは激しい。地域の空間放射線量は高く、いつ修繕できるか先も見えない。「本当に除染で人が住むことができる線量まで下がるのだろうか...」と疑問が湧く時もある。

 それでも町消防団長としての職責を忘れることはない。区域再編後の大きな不安材料は町内の消防態勢。全国各地に団員が避難する中、万が一の事態に団員の迅速な出動は難しい。消防水利の確保、町内に置いたままの消防車両の整備など課題は多い。

 町消防団は昨年秋ごろから仮設住宅で防火などを呼び掛ける活動を開始。難題は山積しているが、佐々木さんは「町消防団の固い絆を武器に自分たちの町を守るための活動を続ける」と誓う。

カテゴリー:震災から2年1カ月