東日本大震災アーカイブ

「東電謝罪に応じず」 父親自殺で和解、須賀川の遺族会見

東電が謝罪を拒否していることを明らかにする和也さん

 東京電力福島第一原発事故後に父親が自殺し、東電と和解した次男樽川和也さん(37)=須賀川市=が5日、都内で記者会見し、東電が謝罪に応じていないことを明らかにした。
 弁護団によると、キャベツ栽培をしていた父親の久志さん=当時(64)=は、出荷制限の連絡を受けた翌日の平成23年3月24日に自殺。東電は裁判外紛争解決手続きで自殺との因果関係を認め、慰謝料や葬儀費用を支払う和解に応じたが、謝罪は「容赦いただきたい」と書面で拒否したという。
 会見で樽川さんは「自慢のキャベツが放射能で汚染されてしまったことがショックだったんだと思う」と父親の無念を代弁。「(東電に)会社として父に線香を上げてもらわないと、和解しても心が晴れない」と涙を浮かべながら訴えた。
 弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「東電の責任の取り方は金を払うことだけ。それでいいのか問われるべきだ」と話した。樽川さんは、6日にも東電の担当者にあらためて謝罪を求める。
 弁護団によると、原発事故をめぐる賠償で自殺との因果関係を認めて和解が成立した初めてのケースという。