東京電力福島第一原発の損害賠償で、政府の避難・屋内退避指示が出され、東電が仮払いした双葉郡など県内13市町村の住民16万5824人のうち、本賠償の未請求者は5月末現在で計1万1214人に上る。東電が5日までにまとめた。
未請求の場合、民法の損害賠償請求権の時効(3年)が来年3月で成立する可能性がある。
未請求者が最も多いのは南相馬市の6101人で、仮払い実施者7万1612人の1割弱を占めた。次いで、浪江町1114人、富岡町832人、いわき市808人などの順となっている。
東電は近く、未申請者に請求を促すため各市町村と個別に対応を協議する。さらに、対象者全員に電話するとともにダイレクトメールを送る方針。
市町村は未請求の理由について、重病で入院しており手続きができないといったケースがあるとみているが、実態は把握できていない。
民法では、損害賠償の請求権は3年間で消滅する。東電は時効を主張せず、期間が過ぎても賠償に応じる姿勢を示しているが、法的な保証はない。国会では先月29日、被災者が時効を過ぎても東電に賠償を求められるようにする特例法が成立した。
しかし、国の原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てが前提になっており救済されるのは一部との指摘が出ている。
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