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放射線 放射性物質 Q&A 被ばくでがん患者 増加しないのか

 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性ヨウ素による被ばくでは、がん患者の増加は考えられないと、原発事故の健康影響を調べている国連科学委員会が報告したという報道がありました。本当でしょうか。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー・長崎大大学院教授(放射線医療科学専攻) 高村昇さん

■国連科学委員会が現実に即して推計し結論付けた

 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、放射線被ばくによる健康影響についての科学的知見を取りまとめ、評価・報告するために国連が設置した組織です。
 今回、UNSCEARは、原発事故で放出された放射性ヨウ素による周辺住民の甲状腺の被ばく線量を推計し、影響を受けやすい小児でも最大の被ばく線量は数10ミリシーベルトで、ほとんどが50ミリシーベルトを大きく下回っていたと報告しました。また、放射線性セシウムによる全身の被ばく線量についても、最大で10ミリシーベルト程度としました。これらの結果を基に、将来、事故による被ばくを原因とするがん患者の増加は考えられない、と結論付けています。
 以前、世界保健機関(WHO)が健康リスクを推定した際は、最も被ばくした住民として「避難区域に4カ月住み続け、被災地の農産物を食べ続けた」という前提条件を掲げていました。これに対し、今回のUNSCEARの報告は、原発事故直後から避難が行われたほか、放射性物質に汚染された食物の摂取制限、流通制限措置が取られ、内部被ばくの低減化が図られてきたことを考慮した内容となっており、より現実に即しています。
 今回の報告書の結果、新たに健康管理上の制限を設けたり、医療機関に受診したりする必要はありません。ただ、さまざまな健診(検診)などの機会を通じ、定期的に健康状態をチェックされることをお勧めします。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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