東日本大震災

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仮の町共生へ一歩 民間団体手携え 浪江・二本松

JR二本松駅前周辺で調査する参加者

 東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く浪江町と、同町役場などを受け入れている二本松市の双方の民間団体が連携し、共生するまちづくりの検討を始めた。産業や福祉、交通、住居などの分野で両市町の利点となる地域振興策をまとめ、町外コミュニティー(仮の町)の受け入れを表明している市に今年度内に提言する。町民と市民の交流拠点づくりや共同店舗の経営などを想定している。22日、両団体のメンバーが市内を調査した。
 民間団体は浪江町のまちづくりNPO新町なみえと、二本松市のNPO法人まちづくり二本松。新町なみえの神長倉(かなくら)豊隆理事長(62)によると、仮の町設置を目指す避難町と受け入れ市町村で、民間による共生への取り組みが始まったのは初めて。
 両団体の提言は例えば、市街地の空き地を利用した災害公営住宅や、町民と市民の交流拠点の整備を想定している。交流拠点に高齢者向けのデイサービスや児童施設を併設し、世代を超えて触れ合う場にするアイデアも。両市町の住民が共同で店舗を経営したり、浪江町内での再開が見通せない事業主に市内で開店してもらったりする案もある。
 新町なみえは今年3月に発表した独自の復興ビジョン「浪江宣言」の中で、二本松市を想定した中心市街地活性化案「まちなか型町内コミュニティ」を打ち出している。まちづくり二本松の佐藤明理事長(79)が「二本松は浪江と共に復興し、中心市街地の活性化につなげたい」と共感し、両団体による「共生」のための連携が始まった。
 背景には、既に市内で共生のまちづくりが動きだしていることがある。JR二本松駅近くにあり、まちづくり二本松が管理する市民交流センター。浪江町にあった、なみえ焼そばを振る舞う食堂「杉乃家」や障害者支援の喫茶「コーヒータイム」が震災後にセンターで営業を再開。佐藤理事長は「震災前より中心市街地への来客が増えた」と効果を強調する。
 22日の現地調査には両団体と、取り組みを支援する早稲田大都市・地域研究所の所員ら約40人が参加した。市民交流センターをスタート地点にJR二本松駅周辺や二本松神社などを視察した。参加者は「空き地や工場跡などを、災害公営住宅にしてはどうか」「狭い道路が多い。防災を考えた都市づくりが必要」などと提言に向けて意見を交わした。
 今後、さらに意見交換や調査を重ねる。早稲田大都市・地域研究所の佐藤滋所長(64)=理工学術院教授、工学博士=は「実現させていくために行政の支援が不可欠となる。復興へ市民と町民がより良い方向性を打ち出してほしい」と語る。神長倉理事長は「県内の避難自治体と受け入れ先の共生に向けたモデルとしたい」と意気込んでいる。

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