新地町沿岸部の津波被災地で東日本大震災後、県絶滅危惧1類指定の植物「ウミミドリ」の群落が点在しているのが確認された。
東北植物研究会員で植物写真家の葛西英明さん(65)=仙台市在住=が発見した。葛西さんから連絡を受けて、現地で調査を行った福島大共生システム理工学類准教授の黒沢高秀氏によると、ウミミドリは海浜の塩性湿地などに生育するサクラソウ科の植物。県内では相馬市の松川浦と新地町の三滝川河口の二カ所のみで確認されていたが、近年は海岸整備などで消失していたという。
黒沢氏は再びウミミドリが確認された要因として、震災による津波や地盤沈下などの影響で、生育にふさわしい海水と淡水が交わる汽水環境が生じ、埋まっていた種子が発芽した可能性を指摘。また、津波で種子が沿岸部まで運ばれてきたことも考えられるとした。
調査ではウミミドリ以外にヒメコウガイゼキショウやアズマツメクサ(環境省準絶滅危惧)など希少な植物が確認された。黒沢氏は「新地町の湿地には貴重な植物が生育する。沿岸部の復旧工事を進める国などには生態系を残す努力が求められる」と話している。
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