■いわき市漁協、小名浜機船底曳網漁協
いわき市漁協と小名浜機船底曳網漁協は、汚染水問題による風評拡大の懸念が拭えないとして、9月に予定していた試験操業の開始を延期する方針を固めた。
試験操業はミズダコ、ヤナギダコなど17魚種が対象で、平成26年6月まで実施する計画だった。沿岸ではシラスの機船船びき網漁を予定していた。
市漁協の矢吹正一組合長(76)は「現状では、消費者の信頼を獲得することができないだろう」と慎重な姿勢を崩さない。
開始時期は今後の放射性物質モニタリングの結果や東京電力福島第一原発の状況を見て検討するという。矢吹組合長は東電に対し「試験操業を始めるためのハードルは高い。汚染水問題の対策を早急に国と一体で進めてもらいたい」と望んだ。
■相馬双葉漁協
相馬双葉漁協は9月初旬から、沖合底引き網漁の試験操業を再開する予定だった。汚染水問題の影響が不透明なままでは「消費者の理解は得られない」と判断。流出を防ぐ工事の推移を見極める。
小型船による初めてのシラス漁も計画していた。当初計画していた重点モニタリングは今月下旬から始める。佐藤弘行組合長(57)は「非常に残念な事態。本県漁業の灯火を消さないため試験操業は継続していきたいが、工事の効果などを見極めないうちは判断できない」と話している。
同漁協は22日、試験操業検討委員会で試験操業の実施延期の方針を確認し、23日の県地域漁業復興協議会と28日の県漁協組合長会で正式に決める。
■本格的対策早急に 野崎県漁連会長
一方、国が汚染水対策に国費投入を検討していることについて、県漁連の野崎哲会長(59)は「凍土遮水壁などの対策はあくまで応急的措置。長期間にわたって安全性が保たれる本格的な対策を早急に講じてほしい」と強調した。
(カテゴリー:震災から2年5カ月)