東日本大震災

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東京五輪ラブコール 県民「復興の力に」

招致イベントで子どもたちと交流する朝日さん(右)=19日、南相馬市原町区

 来月7日の2020年夏季五輪開催都市決定まで約3週間と迫る中、県内では東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興につなげようと、東京五輪の実現に向けた取り組みが展開されている。19日には南相馬市で元五輪代表らを招いたイベントを開き、招致への機運を盛り上げた。東京都などで構成する招致委は被災地復興支援を計画の柱の一つに据えており、「県民からの応援は東京招致への後押しになる」と県内の盛り上がりに期待を寄せている。
 「震災、原発事故で苦しむ人たちが元気になるきっかけが欲しい。心一つに招致を成功させ、困難を乗り越える一歩にしたい」。19日の招致イベントを企画した南相馬市原町区のNPO法人はらまちクラブの江本節子理事長(66)は、五輪招致の実現と震災復興を重ね合わせる。
 イベントは招致委などと連携して企画。市内の小・中学生、高校生約200人が参加し、五輪を身近に感じた。男子バレーボールの元日本代表で北京、ロンドン両五輪のビーチバレーの代表、朝日健太郎さん(37)が子どもたちにサーブなどを指導。シドニーパラリンピック車いすバスケットボール代表の主将を務めた根木慎志さん(48)はスポーツの楽しさや素晴らしさを伝えた。
 同NPOは被災地に元気を届けようと招致活動を継続してきた。五輪招致を応援する子どもから大人までのグループの写真を撮影。100枚に上る画像を交流サイト「フェイスブック」に掲載し、東京招致に向けてラブコールを送ってきた。
 個人で応援する県民もいる。五輪やスポーツ全般の振興に取り組むNPO法人日本オリンピック・アカデミー会員の石川町の安藤敬男さん(79)=福島陸協顧問=は、招致PRのポスター約200枚やピンバッジ約500個などを招致委から取り寄せ、町内外のスポーツ施設などに配ってきた。
 昭和39(1964)年の東京五輪では陸上や水泳、重量挙げ、バレーボールなどを観戦した。「戦争の焼け野原から復活し、五輪開催にこぎ着けた日本人の力は素晴らしかった」と振り返る。「今の県内の子どもたちにも自分と同じ感動を味わってもらい、困難を乗り越える力を身に付けてほしい」と切望した。
 「少しでも恩返しができれば」。郡山市職員有志は仕事中、東京五輪のピンバッジを身に着けている。今年1月、東京都が復興支援を目的に冬季国体スピードスケート競技を郡山市内で開催したことへの感謝がこもる。
 招致委では県出身者も活躍している。全国でPR活動に取り組む事業部マネージャー小松隼人さん(31)は三島町出身。「原発事故で苦労している県民に、元気や勇気をもらったと言ってもらえるよう精いっぱい頑張る」。招致レースのラストスパートに入った。

■子ども招待 リポーター任命 支援事業掲げる

 東京都や招致委は震災からの復興支援を開催意義に掲げている。都が招致に向けて設置した復興専門委員会は、さまざまな復興支援事業を盛り込んだ提言をまとめた。
 提言では、本県を含む被災地からの子どもらを五輪の開閉会式や競技、日本代表選手団の結団式や壮行会に招くことを掲げた。他に、本県などの子どもを大会公認特別リポーターに任命。選手や観客の様子などの取材を通じ、世界に発信するプログラムも打ち出す。本県など被災地への出場国の事前合宿誘致や、福島市の福島わらじまつりなど被災地の祭りを集めたイベントも検討されている。
 また、宮城県でのサッカーの一次リーグ実施や、本県を含む東北地方を縦断する聖火リレーも計画している。

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