東日本大震災

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原発事故後から急増 県内の救急搬送

 県内の救急車による搬送件数が、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生後に急増している。平成24年は震災前の22年より3409件多い7万8705件となった。原発事故の避難者の疾病増、一部地域への避難者の集中などが要因とみられる。県は、搬送時間短縮に向け、患者を受け入れる病院を短時間で選べるタブレット型端末を導入する方向で検討に入った。ただ、原発事故により休止の病院や医療現場の人手不足などもあり、根本的な解決には課題が残る。
 県内の救急車による搬送件数は、高齢化も背景に22年が7万5296件、23年が7万9464件、24年が7万8705件と増加傾向にある。119番通報から患者を病院に搬送する平均時間も、21年が37・4分、22年が38・9分、23年が41・2分と延びている。
 原発事故に伴い、県内136病院のうち、南相馬、浪江、双葉、大熊、富岡の5市町にあった7病院が休止に追い込まれた。事故直前の23年3月1日に2024人いた常勤医は今年4月1日現在で1980人と44人減った。
 相馬地方広域消防本部管内の24年の救急出動件数は3796件で前年比56件増えた。同本部は、原発事故で避難した住民の帰還や、避難区域からの住民が移り住んだことが増加の要因とみている。
 避難区域から、多くの住民を受け入れている、いわき市消防本部管内では、交通事故の増加などで、24年の搬送件数は事故前より約1000件、増加した。浜通りからの避難者が多い郡山地方広域消防組合消防本部管内でも、22年に1万6201件だった搬送件数は24年に1万7212件に増えた。同本部管内の医療機関では患者を受け入れられず、管外の病院に搬送する事例もあるという。
 県は来年度、県内12消防本部の救急車全130台にタブレット端末の配備を目指す。
 搬送の迅速化は、震災と原発事故後に作られた県の第6次医療計画(平成25年度から5年間)に盛り込まれている。県は救急出動件数の急増に対応し、計画を前倒しする。
 県病院協会は、病院の患者受け入れ能力の低下が搬送時間の縮まらない大きな要因と指摘する。前原和平会長は「救急医療は危機的状態だ。根本的に改善するには医師の確保しかない」と強調している。


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