東日本大震災アーカイブ

原発事故関連死 因果関係 見えにくく 審査が長期化

 原発事故による長期避難に起因した「原発事故関連死」。ストレスや満足な治療を受けられなかったことが主な原因とされるが、死亡と原発事故の因果関係は日に日に見えにくくなっている。

 行政が遺族に対し、弔意を示す震災弔慰金制度では、死亡と原発事故の因果関係の判断に時間を費やし、市町村などに設置される審査会の作業が長期化する傾向にある。自殺を関連死と認めるかどうか、病気が回復した後の死をどう扱うかなどをめぐり、明確な判断基準がないためだ。

 「災害弔慰金の支給等に関する法律」は、支給対象を自然災害と定義しているため、原発事故の避難に伴う死亡は対象外だった。国は事故から2カ月後、「その他の異常な自然現象」に原発事故に伴う避難を含めるとの見解を示し、県を通じ市町村に通知した。

 だが、現状にいら立つ弁護士は少なくない。「原発事故の被災者に自然災害を対象とする法律を当てはめること自体がおかしい」。弔慰金は最大500万円が遺族に支払われるが、自然災害と同じ額で妥当なのか。支給事務を市町村などが担うべきなのか。原発事故に特化した救済策、現行の法体制の見直しを求める声が上がっている。

 震災と原発事故に絡む市町村別の死者の概要は【上表】の通り。

カテゴリー:震災から2年6カ月