原発事故の避難に伴う「原発事故関連死」では、遺族が事故と死亡の因果関係を立証しなければならず、東電に損害請求をする際の高い壁となっている。
遺族が東電に損害賠償を求めるには、政府の原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てたり、民事訴訟を起こしたりする方法がある。
ADRは申立人と東電の間に、主に弁護士らで構成する仲介委員が入る。面接や書面交換で意見調整した後、双方に和解案を提示する。和解が不調に終われば民事訴訟に移行するケースもある。
民事訴訟は、6月に大熊町の双葉病院に入院していた患者遺族が、東電を相手取り損害賠償を求めて提訴した。しかし、東電は審理が始まっている6件で「原発事故と死亡の因果関係が不明確」と主張し、いずれも請求棄却を求め争う姿勢を見せている。
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県弁護士会は被災者の賠償請求を進めるため、一昨年9月から原子力発電所事故被害者救済支援センターを運営している。相談件数は約1200件に上る。小池達哉会長は「原発事故から2年半が経過するが、今後も継続的な支援をしていく」と話している。
(カテゴリー:震災から2年6カ月)