東日本大震災アーカイブ

避難区域の市町村長に聞く 川俣 古川道郎町長 高齢者の健康を守る

 −避難区域の山木屋の状況は。

 「住民は約2年4カ月にわたり避難生活を送り、高齢者は精神的に苦しい状況が続いている。家族と離れて暮らしているお年寄りが多く、孤立化しつつあるからだ。子育て世代は放射性物質に、より不安を抱き、遠方に避難している。同居していた高齢者は町内などの仮設住宅に移っているケースがある。高齢者の精神的な負担は大きく、健康を守る対策を強化しなければならないと感じている。原発事故前より保健師を1人増やし、5人が年配の避難者を中心に体調に問題はないかチェックしている」

 −課題は。

 「除染を早期に終わらせ、復興を急がなければならない。除染の長期目標は追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトだが、住民帰還の目安は空間放射線量が山木屋地区以外の町内と同じ程度まで下がることだ。山木屋地区に近い町内大綱木地区では、今年2月に除染を終え、家屋敷地は平均で毎時0・3マイクロシーベルトほどだった。自然減衰により、さらに下がることも考慮し、住民帰還の判断材料としたい」

 −今後の取り組みは。

 「避難生活がさらに長引く可能性があるため、災害公営住宅の整備を進めていく」

カテゴリー:震災から2年6カ月