いわき市漁協試験操業検討委員長で、仁洋丸船主の鈴木三則さん(62)は古里・四倉の海をじっと見詰めた。「消費者が不安に思っている以上、試験操業は簡単に始められない。震災当初は、まさか2年以上も漁ができなくなるとは考えていなかったが...」
今月5日から始まる予定だったいわき市漁協の試験操業は延期となった。福島第一原発の汚染水のニュースが連日流れる中、風評が販売に与える影響を考え、足踏み状態になっている。
20歳で底引き網漁師になった。父春政さん、兄の一彦さんと仁さんも海の男だったが、仕事中などに命を落とした。3人の分まで漁師として頑張ろうという思いでやってきた。それだけに漁に出られない現状は悔しくてならない。
「漁師はみんな試験操業の準備を整えている」と話す。試験操業開始の際には「国、県、市が一丸となって風評払拭のPRをしてほしい」。海に出る日を見据え、強く訴えた。
(カテゴリー:震災から2年6カ月)