東日本大震災アーカイブ

ブランド力低下防ぐ 水産物加工・販売さすいち直売店社長 小野輝男さん(いわき)

活気にあふれる小名浜漁港の写真を前に漁業復興を願う小野さん

 「原発事故の影響で今は難しいが、いつか必ず地魚の天日干しは復活させる」。いわき市小名浜の「さすいち直売店」社長の小野輝男さん(71)は力を込める。

 震災前は新鮮な魚介類の販売をはじめ、いわきの特産品ヤナギガレイや特製たれに漬け込んだサンマなどを店頭に干していた。水揚げされたばかりの鮮魚を海風にさらして干物にする浜の伝統。海からの風と太陽の光でうま味が凝縮する。地元住民をはじめ、観光客にも人気だったが、そのブランドを守っていけるのかを危惧する。

 店舗の目の前には小名浜漁港が広がる。震災の津波で大きな被害を受け、一時は再開を諦めかけた。しかし、50年余り、いわきの魚を売り続けてきた誇りが気持ちを奮い立たせた。

 駐車場だった場所に新店舗を構えた。壁には漁業復興を願い、30年以上前の活気に満ちあふれていた小名浜漁港の写真を飾った。「いわきの魚は本当においしいんだ」

カテゴリー:震災から2年6カ月