根本匠復興相(衆院本県2区)は9日、福島民報社のインタビューに応じた。子ども・被災者支援法の基本方針案に明記されなかった子ども・妊婦の医療費減免の施策については、県民健康管理調査などの結果を踏まえて検討していく考えを明らかにした。
―本県では依然として約15万人が避難生活を余儀なくされている。復興庁として、さらなる復興加速化にどう取り組むか。
「司令塔機能を発揮して関係省庁を動かさなければならない。これまで福島復興再生総局を新設するなど態勢の強化に取り組んできた。職員にも『省庁間の連絡員にだけなるな』と意識改革を求めている」
―子ども・被災者支援法の基本方針案が示された。支援対象地域の線引きの基準が市町村単位となったことは歓迎されているが、法の目玉とされた子ども・妊婦の医療費減免に対応する施策は明記されなかった。
「支援対象地域は立法過程でも議論されたが結論が出ず、難しい作業だった。地域が分断しないよう、社会的・経済的にまとまりある地域を総合的に考えて市町村単位となった。評価されていると思う。医療費減免の施策については、県民健康管理調査の結果などを基に専門家の意見も聞きながら検討する」
―安倍政権となり復興予算枠が拡大されたが、平成24年度予算の復興費は3兆円余りが使い残しとなるなど、復興事業の遅れを指摘する声もある。
「通常の災害復旧もそうだが、年度内で予算が不足しないよう配慮して予算を計上している点は理解してほしい。住宅再建など地元との調整に時間がかかり、繰り越しとなるケースもある。ただ、最近は労働力や資材不足が要因となっている側面もある」
―県内の除染は順調とはいえない。
「どんな課題があり、なぜ遅れているのか総点検すべきだと考え、環境省とずいぶんやりとりした。その結果は、環境省が10日に発表を予定している国直轄除染の工程表見直しに盛り込まれる。単なるスケジュールの見直しではなく、過去の各市町村の取り組みから先進事例を取り入れるなど、課題解決に向けた具体策も示す」
―中間貯蔵施設等福島現地推進本部が4日に新設された。
「中間貯蔵施設は、除染を進めるために必要不可欠だ。中間貯蔵施設の計画が進まないと、地域再生の施策が止まってしまう。地元理解が何より重要であり、関係町へは丁寧に対応したい」
―東京電力福島第一原発の汚染水問題も深刻だ。
「直接の所管は経済産業省だが、復興や住民の安心につながる問題であり復興庁としても深刻に受け止めている。事故対応が迅速に進むよう関係省庁に働き掛けていく」
(カテゴリー:震災から2年6カ月)