東日本大震災

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土湯温泉復興に光 廃業3旅館再生へ 浜通りと地元の旅館が宿泊施設に活用

「福うさぎ」の新たな名称で12月のオープンを目指す旧「天景園」

 東日本大震災や東京電力福島第一原発事故の風評被害を受け福島市の土湯温泉で廃業した旅館5軒のうち、3軒で再生計画が動きだした。1軒は浜通りの旅館が建物を買い取り、12月オープンに向け改装工事が進む。地元の旅館も別の1軒を復興関係者向けの宿舎に衣替えする。残りの1軒は土湯温泉街の町おこしを目指す民間団体が地域振興の拠点としての利用を検討している。苦難が続いた温泉地を復興の光が照らし始めた。
 「中通りと会津をつなぐ115号国道沿いにある。東北自動車道からのアクセスもいい。とにかく自然が豊かだ」。廃業した旧「天景園」を改装して新旅館「福うさぎ」の経営に乗り出す相馬市の旅館は土湯温泉の魅力を強調する。
 土湯温泉中心部の荒川沿いにある旅館の建物は、急ピッチで改修工事が進んでいる。部屋数は約30室で、旅館経営のノウハウを生かし、新天地で事業を拡大する。「土湯の観光振興にも一役買いたい」と意気込む。
 旧「土湯温泉ホテル」を再生させるのは地元旅館の山水荘。既に建物を購入し、10月にも復興作業の関係者の宿舎としてオープンさせる予定だ。40室の規模で、山水荘関係者は「土湯温泉の宿泊客の回復状況などを見極めながら、いずれは観光客向けの宿泊施設に戻したい」と話す。
 旧「いますや旅館」は、地元で地域振興に取り組む民間団体が購入を計画している。観光の拠点としての活用を検討しており、部分的に宿泊客を受け入れる構想もある。
 土湯温泉の宿泊客は震災前の平成22年度は約20万5千人だったが、震災後の23年度は7万7千人に落ち込んだ。24年度は10万1千人まで回復したが、風評で県外客が戻っていないのが実情だ。
 今回の廃業旅館の再生で交流人口の拡大が見込まれる。3軒の他、震災後に廃業した「観山荘」は建物の解体工事に入り、「富士屋旅館」は既に取り壊した。温泉街から廃業旅館が減ることで、景観とイメージアップ効果も期待される。地元の観光関係者からも歓迎する声が上がっている。
 土湯温泉観光協会の池田和也事務局長(55)は「温泉街にとって明るいニュースだ。土湯温泉の魅力を高めてくれるはず」と期待を寄せている。


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