東日本大震災

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本県の復興 世界へ いわきで島サミット 漁業現状理解の場に 風評払拭に期待

原発事故からの復興のアピールと風評払拭のため、岸田外相に本県開催を要望した佐藤知事(中央)と清水市長(左)

 「復興に向かう本県の姿を世界にアピールできる」。日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋・島サミット)が平成27年にいわき市で開かれることが固まった25日、市民から歓迎の声が上がった。市内の漁業、飲食業、観光業の関係者らは東京電力福島第一原発事故の風評払拭(ふっしょく)に期待。会議開催に向け、原発事故の早期収束を求める声も相次いだ。
 「福島の漁業の現状を国内外に知ってもらう絶好の機会だ」。いわき市の小名浜機船底曳網漁協の前田久次長(61)は島サミットの開催を歓迎した。
 同市では、18日から試験操業が始まったばかり。漁業者は本格的な操業を目指して汗を流しているだけに、「世界からの出席者が水産物の放射性物質検査態勢や漁師の熱意を理解する場にしてほしい」と訴えた。
 これまで環境問題などが議論されてきたサミットで、全国有数の漁場を誇る本県沿岸部の漁業や海産物が注目される可能性もある。海外で根深い「食」への風評払拭に期待した。
 「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなる中、飲食店関係者は和食を通して地元の食を世界に売り込むチャンスと捉える。新鮮な食材を扱う市内小名浜の老舗「割烹 一平」のおかみ長谷川雅子さん(76)は「県内外の観光客が戻ってくるように一生懸命におもてなしをしたい」と話した。
 いわき観光まちづくりビューローの平山武博専務理事兼事務局長(62)は「各国の首脳に市が復興に向かう様子を見てもらえる意義は大きい」と受け止めた。

■本県開催 国に要望 佐藤知事清水市長
 首相官邸で、菅義偉官房長官に本県開催を要望した佐藤雄平知事は、要望活動終了後、記者団に「26日が最終決定だが、官房長官には福島の事情を良く理解していただけていると感じた」と言葉に力を込めた。
 要望活動は非公開で行われた。佐藤知事によると、菅官房長官は、本県開催により、原発事故の風評を国際的に払拭する必要があるとの佐藤知事、清水敏男いわき市長の訴えに理解を示したという。
 佐藤知事は「いわき市で国際会議を開くことで、世界の人々に本県の現実、状況をしっかりと見てもらえる。それが風評払拭、復興につながる」と開催の意義を強調した。
 官邸に先立ち、外務省では、佐藤知事と清水市長が「ぜひ本県で開催していただきたい」と岸田文雄外相に要望。岸田外相は「しっかりと受け止めたい」と答えた。

■「開催前に原発事故収束を」 市民避難者
 「いわきに国際的な注目を集めるチャンスだが...」。いわき市植田町の写真店経営緑川貴之さん(49)は素直に喜べない。原発事故は汚染水問題などトラブルが頻発し、一向に収束のめどが立たないからだ。「各国の首脳が訪れるサミット開催前までに、原発事故を収束させなければならない」と指摘した。
 原発事故で避難生活を送る県民からも事故収束を求める声が上がった。「サミットが開かれる平成27年までに、原発事故の収束作業はどのぐらい進むだろうか」。浪江町から福島市の仮設住宅に避難する無職熊田伸一さん(60)は悩ましい表情を浮かべた。「海外から首脳を迎える以上、政府は事故対策を前進させてほしい」と切望した。
 会津若松市に避難中の大熊町の住職、半谷隆信さん(62)は「汚染水問題など原発への不安は続いている。サミットで環境対策が議論されることを望む」と語った。


※太平洋・島サミット
 太平洋の島諸国・地域の開発や環境問題、自然災害対応などを協議するため、平成9年から3年に一度、日本で開催している。前回は平成24年5月に沖縄県名護市で開催され、日本を含む16カ国・1地域が参加した。島諸国ではないが、米国も初めて参加した。

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