東日本大震災アーカイブ

楢葉の有志2237人の署名提出 中間貯蔵施設の是非で住民投票条例制定へ

署名を提出した(左から)松本さん、熊野さん、結城さん

 東京電力福島第一原発事故の除染廃棄物を搬入する中間貯蔵施設(保管庫)の楢葉町内建設の是非を問う住民投票条例制定を目指し、署名活動を展開していた町民有志でつくる「住民投票を実現させる会」は4日、町選管委(猪狩敬一委員長)に2237人の署名簿を提出した。
 地方自治法によると署名は名簿登録者の50分の1以上が必要。2日現在の町の名簿登録者は6254人(男3034人、女3220人)で、同日現在で換算すると、50分の1以上は126人以上となる。今後、町選管委が署名簿の有効人数を確認するが同会はこれを大きく上回ったとみている。
 町選管委は5日から20日以内に署名の重複などを精査し、50分の1を超えたことを確認後に告示する。告示を受け同会が松本幸英町長に条例制定請求書を提出。松本町長は意見を添えて20日以内に議会を招集する。順調に進めば来年1月末にも臨時議会が開かれ審議される。
 条例制定をめぐっては9月定例議会で同様の住民投票条例案が議員発議され、議長を除く議員11人のうち賛成5人で否決された。
 同会の共同代表の海事代理士松本慶一さん(65)は「全町避難が続く中で署名が3分の1を超えたことは実質、6割以上の町民の民意が反映されていると思う。町議会の賢明な判断に期待したい」と語った。
 松本さんともう一人の共同代表の無職結城政重さん(66)、発起人の無職熊野剛典さん(65)は4日、いわき市の町いわき出張所を訪れた。松本さんらによると、署名した大半の町民は町内建設に反対しており、「建設候補地が国有化される方針が示されてからは(中間貯蔵施設が)最終処分場になることを懸念する声も強かった」などと語った。


カテゴリー:福島第一原発事故