東日本大震災

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富岡の鐘の音で新年を 「おだがいさまFM」大みそかに放送 龍台寺が協力

富岡町の居住制限区域にある龍台寺の鐘突き堂=27日午後2時ごろ

 大みそかのラジオから、懐かしい「除夜の鐘」が聞こえる-。郡山市にスタジオを置く富岡町社会福祉協議会の臨時災害FM局「おだがいさまFM」は31日、東京電力福島第一原発事故の居住制限区域にある町内小浜中央の龍台寺の鐘の音を放送する。避難している町民に古里の年越しを思い出し、希望を持って新年を迎えてほしいと初めて企画した。龍台寺の鐘は、ふくしまFMなど「TOKYO FM」系のラジオでも全国に流れる。
 龍台寺の鐘の音が放送されるのは、31日午後7時15分から元日午前1時までの年末特別番組「大晦日だよ!おだがいさま!」。午後11時台に、百八つの鐘の音を15分程度の時間を取って流す予定だ。
 富岡町は今年3月の避難区域再編で、町内の「居住制限」「避難指示解除準備」両区域への立ち入りが認められた。「除夜の鐘を聞いて、古里の大みそかの風景を思い浮かべてもらおう」。おだがいさまFMの番組司会者を務める久保田彩乃さん(28)らスタッフが協力を求めたところ、副住職の矢内隆久さん(53)が快く引き受けた。
 町が午後3時以降の町内への立ち入り自粛を呼び掛けているため、11月下旬の日中に録音を済ませた。原発事故から2年9カ月ぶりに、矢内さんは撞木(しゅもく)に結んだ綱を握り鐘を突いた。懐かしい思いが込み上げてきたという。避難先のいわき市から寺に通い、仏具の片付けを進めている。「来年1月には敷地内で除染が始まる。早く帰還して寺を再開させたい」と話す。
 特別番組の司会を担当する久保田さんは「全国に避難した町民に、ぜひ耳を傾けてほしい」と願っている。郡山市の仮設住宅に避難し、おだがいさまFMの放送をよく聞いているという宇佐見正俊さん(79)さんは「しみじみと郷愁に浸りたい」と楽しみに待つ。
 番組では31日に予定されている全国高校サッカー選手権大会の富岡高の試合や、県外に避難している町民の声も紹介する。
 おだがいさまFMは昨年3月に開局した。郡山市富田町の仮設住宅内にスタジオを置いている。周波数が76・9MHzで半径約10キロ圏内に放送が届く。インターネットの「サイマルラジオ」でも聞くことができる。
 町社会福祉協議会の職員らが司会を務め、町民に町のイベント情報などを提供している。

■31日午後11時から 全国38局でも中継

 龍台寺の鐘は、「TOKYO FM」系の年末年始特別番組「空を見上げて~明日へのチャレンジ~」でも放送される。開始時間は31日午後11時で、同45分ごろ鐘の音を流す。ふくしまFMを含め全国38局が中継する。


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