東日本大震災

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4月に喜多方で将棋の名人戦 熱塩温泉の復興に妙手

 将棋の第72期名人戦7番勝負の第2局は4月22、23の両日、喜多方市の熱塩温泉・山形屋で行われる。主催者が14日、発表した。本県での開催は平成17年の福島市、24年のいわき市に続いて3回目。熱塩温泉は昨年夏、水害に見舞われ、東京電力福島第一原発事故の風評被害も残る。対局には県内外から大勢の将棋ファンが駆け付ける見込みで、温泉街をはじめ蔵とラーメンのまち・喜多方の復興に向けた大きな「一手」となる。
 名人戦は日本将棋連盟、朝日新聞社、毎日新聞社の主催で、喜多方市が招致した。会津王将会などとともに近く実行委員会を発足させる。福島民報社は実行委の構成メンバーとなる。
 昨年7月の水害では、熱塩温泉の一部の旅館に土砂が入り込むなど被害が出た。原発事故の風評で、客足は東日本大震災以前の状況に戻り切っていないという。将棋のタイトル戦を通じて、「元気な喜多方」を全国にアピールする。
 森内俊之名人が迎え撃つ第72期名人戦の日程は【表】の通り。喜多方市では4月21日夜、対局者を含む関係者や一般のファンが集う前夜祭を催す。22日午前9時に対局を開始する。封じ手を行い、23日夜に終局する。対局のある2日間は大盤解説会を開き、プロ棋士がファンに大局観を教え、次の一手を予想する。
 20日には開催イベントとして、記念大会などを計画している。
 森内名人への挑戦者は、3月7日のA級最終戦で最終決定する。14日現在、羽生善治3冠(王位、王座、棋聖)が7勝でリードしている。2月5日の深浦康市九段との対局で羽生3冠が勝利すれば挑戦者に決まる。
 名人戦は17年に福島市飯坂町の摺上亭大鳥、24年にいわき市のスパリゾートハワイアンズで対局が行われた。

■地元関係者歓迎、元気発信へ

 喜多方市は昨年6月に名人戦の招致委員会を設立、委員長の武蔵正憲会津王将会長、山口信也市長らが招致活動を繰り広げてきた。市内での開催決定を受け、山口市長は「権威のある名人戦が喜多方で行われることは大変光栄」とした上で、「市民が日本の伝統文化である将棋の魅力に触れる機会となるだけでなく、震災後の風評被害に負けない風格のある喜多方を全国に広く発信できる」とコメントした。
 会場となる山形屋の瓜生泰弘社長は「大変名誉なことで震えるような感動を覚える。熱塩温泉の長い歴史の中でもビッグイベント。原発事故の風評払拭(ふっしょく)のため、喜多方から元気を発信したい」と語った。熱塩温泉旅館組合の安田茂理事長は「温泉街全体として歓迎したい。熱塩温泉は昨年夏に豪雨被害を受けたが、新年早々の朗報に心から喜んでいる」と述べた。
 招致に力を注いだ武蔵会津王将会長は「市や関係団体と一丸となって活動してきた。開催が実現し夢のようだ。将棋の普及、本県の復興につなげたい」と意欲を見せた。

名人戦の会場となる山形屋と瓜生社長(右)ら関係者

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