福島復興連続シンポジウム「生活再建の課題」の第3回「住まいと暮らしの再生」は3日、いわき市平のいわきワシントンホテル椿山荘で開かれた。被災地の首長や被災地で操業する企業の担当者らパネリスト5人が復興を加速し、住民生活を再建するための課題について意見交換した。
福島民報社、毎日新聞社、福島大うつくしまふくしま未来支援センター、国際公共政策研究センター(CIPPS)の主催。
清水敏男いわき市長、遠藤雄幸川内村長、一柳健菊池製作所副社長、嶋貫光喜大熊町教育委員長、丹波史紀福島大行政政策学類准教授がパネリストを務めた。
双葉郡から被災者を受け入れている清水市長は「浜通りの自治体として協力したい。ただ、避難の長期化で納税や住民票の扱いなどルール作りが必要。市独自で決められる問題ではなく国が制度設計すべき」と求めた。
遠藤村長は「帰村宣言」から2年たった現在、戻った住民が半数程度と紹介。「避難先の生活に慣れ、戻らないと判断する住民が多い。帰還を目指す村民のために除染や働く場の確保に一層、努める」と強調した。
菊池製作所は川内村や飯舘村で工場を操業している。一柳副社長は災害対応のヘリコプター、がれき撤去ロボット開発など産学官連携で進めている技術開発を披露し、「雇用の面からも相双地方の振興に貢献したい」と語った。
嶋貫委員長は会津若松市で避難生活を送る。「仮設住宅は結露で天井に染みができるなど環境が悪化している。町民が求めているのは安心して生活できる住居の確保」とし、災害公営住宅や住宅地の確保を加速させるよう訴えた。
丹波准教授は、双葉郡の被災者の3割強が災害公営住宅への入居を「判断できない」とする調査結果を紹介。「暮らし再建のめどが立っていない。避難先の自治体の一員として迎えられる制度設計が大切」と述べた。
毎日新聞社の冠木雅夫専門編集委員(喜多方市出身)が総合司会を務めた。
田中直毅CIPPS理事長の司会で5人がパネルディスカッションを繰り広げた。
()