東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物を搬入する中間貯蔵施設の建設に関し、佐藤雄平知事は7日、双葉郡8町村長と面会し、建設候補地から楢葉町を外して大熊、双葉両町に集約した上で、新たに楢葉町に1キロ当たり8000ベクレル超~10万ベクレル以下の焼却灰の処理施設を設置する案を示した。佐藤知事は来週にも国に計画見直しを求める。
焼却灰の処理施設は、県内で発生した焼却灰をセメントで固める。処理後は政府の計画通りに富岡町の既存の管理型処分場で最終処分する。処理施設には焼却灰を埋めない。楢葉町内での設置場所は未定としている。
政府は処理施設を富岡町の管理型処分場に併設する計画を示していた。しかし、県は安全に作業するためには処分場が手狭で、新たな用地確保が必要と判断した。県担当者によると、処分場に搬入する際に通過する楢葉町が候補に挙がった。中間貯蔵施設の候補地から同町を外すため、郡内の負担のバランスも考慮したとみられる。
佐藤知事は8町村長との協議後、記者団に「提案に異論はなかった。8町村と県が(課題解決に向けた考えを)共有できたと思っている」との認識を示した。ただ、「施設の集約を国に求めることと建設受け入れは同じではない」と強調。中間貯蔵施設の建設受け入れに向けた議論は、政府が新たな計画を示した上で進める方針だ。
会談は郡山市で行われ、双葉郡8町村長からは、廃棄物の貯蔵開始から30年以内の県外搬出の法制化、受け入れに伴う地域振興策の早期提示なども国に求めるべきとの意見が出された。
佐藤知事が4日に示した再配置案では、政府の計画で中間貯蔵施設の建設候補地となった大熊、双葉、楢葉の3町の用地・施設を、楢葉町を除く大熊、双葉両町に集約する。面積は政府が示した大熊町の約11平方キロ、双葉町の約5平方キロを維持。楢葉町の約3平方キロをなくし、全体面積を計16平方キロとして政府案より縮小する。県は国に最新技術を使った草木の減容化など搬入量の再精査と、2町で受け入れた場合の計画見直しを申し入れる。
井上信治環境副大臣は5日の定例記者会見で「(地元から)正式に要請があれば検討したい」とし、見直しに前向きな姿勢を示している。
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