東日本大震災アーカイブ

避難生活の歩み出版 双葉の川崎さん 経験未来に生かして

発刊した本を手にする川崎さん

 学習塾などを運営する双葉町の川崎学院理事長で、東京電力福島第一原発事故のため福井県坂井市に避難している川崎葉子さん(63)は5日、避難生活の歩みをつづった「原発3キロメートル圏からの脱出 今日まで...そしてこれから」を致知出版社から発刊した。
 東日本大震災から3年になるのを機に、「避難を強いられた住民の経験を未来のために生かしてほしい」との思いから出版を決めた。十分な情報がないまま双葉町を離れた時の不安感、自宅にバリケードが設けられた切なさ...。数知れない苦労を振り返るとともに、複合的な被害を想定した訓練の必要性、非常時のリーダーシップの在り方などを提言した。
 現在は、いわき市に生活拠点を移す準備をしており、浜通りの復興を目指す熱い思いも書いた。川崎さんが企画に携わった富岡町の「桜文大賞」で、審査員を務めた作家の吉永みち子さんが推薦文を寄せた。
 川崎さんは同日、福島民報社を訪れ、「真実を知ってほしいという思いと、支えてくれた人への感謝の気持ちを込めて書いた。ぜひ読んでほしい」と語った。川崎さんは民報サロン第43期執筆者。270ページ、本体価格1500円。全国の書店で販売する。