東日本大震災アーカイブ

「災害心理研究所」開設へ 福島大が来月 原事故の影響研究

災害心理研究所の設置を発表する筒井教授

 福島大は4月、学内に研究組織「災害心理研究所」を新設する。東京電力福島第一原発事故に伴う放射線被ばくの不安が県民の心理的健康に与える影響やその対処法などを研究する。5日、記者会見し、明らかにした。
 研究所の設置期間は平成31年3月末までの5年間。同大共生システム理工学類の筒井雄二教授(実験心理学)が所長を務め、学内の研究員5人のほか、学外の医師や研究者らが客員研究員として所属する。
 原発事故後、県内で生活している子どもやその親らが放射線への不安やストレスを感じていることが指摘されている。研究所はストレスの実態や、子どもの発達などに及ぼす影響などを調査。実際に取り組まれているさまざまな心のケアの効果を科学的に検証し、効果的な支援プログラムの開発、実用化を目指す。
 チェルノブイリ原発事故が発生したウクライナでは今も心理的な問題を抱えた被災者が多いという。筒井教授は「原子力災害がどんな心理的問題を引き起こすのかや、子どもの心理的発達への影響は科学的に解明されていない。問題が起きる科学的メカニズムに基づく対処法を県民に発信したい」と話している。

カテゴリー:福島第一原発事故