自民党の東日本大震災復興加速化本部の総会は6日、党本部で開かれた。原子力災害対策本部の体制見直しなど、災害時の危機管理の強化を政府に求める決意書案を示した。
文書は「東日本大震災から3年を迎えるにあたっての決意」。復興の進展に伴う今後の課題などについて問題提起した。
このうち、震災を踏まえた緊急時対応の項目では、複合災害であったことを重視しながら「いま1度、震災時の対応の検証・評価を行うとともに、現行制度の見直しの必要性について根本的に検討を行うべき」と指摘。具体的なテーマとして原子力防災に関わる一元的な指揮・命令系統の整備などを挙げた。
会議終了後、大島理森本部長は「震災の記憶が風化されないためにも、時間をかけて根本的な危機管理体制を考えてほしい」とした上で「(新たなエネルギー基本計画で)原子力エネルギーをベースロード電源(安定的に稼働する電源)とするなら、特に原子力災害本部の在り方を見直し、国民の安心と信頼を得ることが大事」と強調。さらに文言を見直し、早ければ7日にも政府に提出する考えを示した。
「東日本大震災から3年を迎えるにあたっての決意」案の要旨
◆今後注力すべき課題
可能な限り早期に生業の再建、復興の核となる産業の育成に一層取り組んでいくことが政治に与えられた責任。
・さらに避難生活を送らなければならない被災者の健康対策・生活支援に万全を期すべき
・資材や作業員不足などにも十分配慮し、インフラ・住宅整備など復興に向けた取り組みを着実に進めていくことが必要
・地域住民の暮らしの再建、地域の自立に向けた自治体の取り組みを国も支援していかなければならない
◆原子力事故災害の収束に向けて
汚染水対策、除染・中間貯蔵施設建設については、目に見えて進んでいると評価できるには至っていない。30年ともいわれる長期事業を意識した安全・安心に抜かりのないさらなる取り組みを政府に求める。
◆東日本大震災を踏まえた緊急時対応について
東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故災害が併発し、避難長期化などを招いた事実を踏まえると、複合的な災害を視野に入れ「想定外は存在する」ということを前提とした現行制度の見直しの必然性は依然としてある。発災前、発災直後のフェーズに応じ、以下を中心に検証。
・評価、検討を行うこと
▽発災前
・予測システムの研究・開発・活用
・非常時を想定した政府の体制・指揮命令系統の構築
・政府機能の移転・維持
・災害ロボットの研究・開発
▽発災直後
・複合災害時における司令塔体制の構築・強化。特に原子力防災に係る別途の一元的な指揮・命令系統の整備
(カテゴリー:震災から3年)