東京電力福島第一原発構内で汚染される前に地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス計画」で、県漁連は7日、いわき市で同市漁協向けの説明会を開いた。野崎哲会長は25日の県漁協組合長会までに、相馬双葉漁協組合員の考えを聞いた上で意見を集約する考えを示した。
同市中央台公民館で開き、100人を超える組合員が出席した。東電の石崎芳行副社長(福島復興本社代表)が、独自に定めた運用目標を下回った場合のみ海に排出する案を示し理解を求めた。運用目標は国や世界保健機関(WHO)の水質ガイドラインを大幅に下回る数値で、1リットル当たりでセシウム134は1ベクレル未満、トリチウムは1500ベクレル未満となっている。
野崎会長は運用目標を守ることが絶対的な条件とした上で、「福島第一原発の安定化が漁協再開にとって最も重要な事項の一つ。私見としてだが(バイパス計画は)認めていきたい」と話した。
組合員からは「水質検査を増やすべき」「仮に海洋放出した場合、将来的に責任の一端を漁業者に押し付けないこと」「(トラブルが続き)東電と国は信用できず反対」など厳しい意見も出た。
矢吹正一いわき市漁協組合長は「漁業の生命が懸かる大きな問題だ。譲るべきところは譲り、主張すべきところはしっかり要望する」と強調した。
相馬双葉漁協向けの説明会は14日午後、相馬市で開かれる。
()