東日本大震災

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郷土のために尽くす 浪江出身の本居さんと相馬の木幡さん

行方不明者の捜索に参加する本居さん(右)

 大切な人の思い出を胸に、明日に力強く歩み出す-。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生から3年を迎えた11日、津波で家族を失った遺族は海に向かい静かに手を合わせた。悲しみはいまだ、胸の中から消えない。しかし、節目の日に誓った。「古里の復興に尽くす。それが、あなたへの何よりの供養になる」

■正看護師の夢へ 弟亡くし両親不明 本居春江さん(仙台在住浪江出身)
 「前を向いて自分の力で生きていく」。浪江町請戸出身の看護師本居春江さん(29)=仙台市=は実家のあった同地区を訪れ、正看護師という夢に進む決意を新たにした。
 震災発生時、町内にいた父鈴木文雄さん=当時(65)=、母十四代(としよ)さん=当時(62)=、弟清孝さん=当時(24)=の家族3人が津波に襲われた。実家も失った。清孝さんは遺体で発見されたが、父母は今も行方不明だ。
 仙台市で震災後、准看護師を続けているが、家族を思い気持ちが落ち込むこともあったという。そんな時、心の支えになったのが母の励ましの言葉だ。「自分で決めた道なのだから、しっかりやりなさい」。4月から、正看護師の資格取得を目指して市内の専門学校に通う。
 11日は、家族の手掛かりを求めて、請戸地区の海岸で行われた行方不明者の一斉捜索に初めて参加した。姉と妹、親戚らで実家の跡地に花を供えた後、海岸で作業に励んだ。町内で行われた町の追悼式にも出席し、遺族代表の言葉を述べた。「幸せになるため努力して前に進むのも、現状にとどまるのも自分次第。両親が自分の姿を見て『頑張ったね』と言ってくれるのが目標」

■防災の大切さ教える 父亡くした元教諭 木幡陽子さん(相馬)
 相馬市の元教諭木幡陽子さん(45)は市内の海岸線に立つ慰霊碑の前で、津波で亡くなった父高橋広勝さん=当時(67)=を思い手を合わせた。「震災から3年。心に区切りを付け、古里の再生に貢献したい」。ボランティアで地域の子どもたちに防災の大切さを教えていくという。
 子どもや孫のことを何より大事に考えていてくれた父。その突然の死に直面し、生きる意味を見失っていたという。仙台市に避難しながら相馬市の玉野中教諭として教壇に立ち続けた。3年間担任だった生徒を卒業生として送り出し昨春、退職した。
 夫淳一さん(48)、長女恭子さん(10)、長男徹也君(7つ)とともに相馬の家に戻った。時が過ぎるにつれ、悲しんでばかりいられないという気持ちになった。「お父さん、天国から私たちを見守っていてね」。青く輝く穏やかな海を見詰めた。

亡き父を思い古里の海を見詰める木幡さん

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