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【ALPS試運転1年】取り除けないトリチウム 処分方法宙に浮く

試運転開始から間もなく1年を迎えるALPS。今後、本格運転や増設などで処理能力の向上が期待される=昨年10月(福島民報社撮影)

 試運転開始から30日で1年を迎える多核種除去設備(ALPS)は、汚染水から大半の放射性物質を取り除けると期待されている。しかし、ALPSでも取り除けないトリチウムの処分方法は宙に浮いたままで、放射性物質を取り除いた後に残る吸着材の最終処分方法も決まっていない。

■高い放出法定基準
 汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、ALPSではトリチウムだけは取り除けない。ALPSで汚染水処理が順調に進んだとしても、トリチウムを含んだ水を放出できなければ、地上タンクは増え続けることになる。
 トリチウムを放出する際の法定基準は1リットル当たり6万ベクレルで、セシウム134の60ベクレル、セシウム137の90ベクレルに比べてはるかに高く設定されている。トリチウムの放出は原発事故以前から行われており、電力会社は原発ごとに基準値を定め管理していた。旧原子力安全・保安院の統計によると、毎年度、7800億ベクレル~2兆6000億ベクレルを放出してきた。九州電力玄海原発(佐賀県)では、平成22年度に100兆ベクレルを海に放出している。

■結論出ず
 政府はトリチウムの扱いを検討する有識者の作業部会を開き、地下や海洋への放出、施設での長期保管などそれぞれの処分方法の持つ環境への影響や技術的な課題などを研究している。
 有識者の中には「ある程度の濃度に薄めた上で、海洋への放出も選択肢の1つ」とする意見がある。ただ、漁業関係者を中心に風評被害を懸念する意見が根強い。結論は出ないまま地上タンクは日々、増え続けている。

■7年後めどに検討
 ALPSで汚染水を処理した後には、取り除いた放射性物質が付着した吸着材が残る。
 現在は福島第一原発敷地内の一時保管施設で保管しているが、限られたスペースのため、新たな保管場所の確保が迫られている。
 国際廃炉研究開発機構(IRID)が中心となり、処分方法を研究している。だが、IRIDは7年後の「平成33年をめどに検討」としている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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