政府は1日午前0時、東京電力福島第一原発事故に伴う田村市都路町の避難指示解除準備区域に対する避難指示を解除した。福島第一原発から半径20キロ圏に設定された旧警戒区域での避難指示解除は初めて。冨塚宥●市長は31日、「復興への第一歩。関係機関とともに帰還者を支えていく」と決意を語った。国や市は住民の帰還に向けた支援を加速させる。
市は1日に都路こども園保育部を再開させ、7日には3つの小中学校で新学期をスタートさせる。冨塚市長は住民の帰還や復興に向け、教育や雇用、健康管理などを課題に挙げ、「解除がなければ復興への道は閉ざされたままだ。戻ろうと思える地域を築かなければいけない」と語った。
復興庁は昨年12月、既存の交付金を統合して「福島再生加速化交付金」を新設し、平成25年度補正と26年度当初合わせて1600億円を予算化した。田村市など避難区域が設定された12市町村の要望に対する財政支援の柱としている。
都路町に帰還する住民の健康不安解消に向けた「相談員育成・配置」をはじめ、中小企業の事業再開を支援する「原子力災害被災地域事業所整備等支援」、農地や農業利水施設を整備する「農業基盤整備促進」などの支援メニューを用意し、市の要望に対応する。
県は、市が町内に開設する2つの仮設商業施設の備品の購入費を負担する。授業を再開する3つの小中学校には、エアコンを整備し、保護者や子どもたちの放射線に対する不安の緩和につなげる。
市は自由に居住できる旧緊急時避難準備区域を含めた都路町全体の復興を目指し、コンビニエンスストア誘致などの施策を進める。
都路町の避難指示解除準備区域の住民登録者は2月末現在、117世帯、357人。全員が避難生活を送っている。政府は除染の終了や社会基盤の復旧などを踏まえ、3月10日に解除を決定した。
解除に伴い自宅での居住や事業再開に制約はなくなったが、除染の長期目標とする年間追加被ばく線量1ミリシーベルトを上回る場所が残る。
精神的苦痛に伴う賠償(月10万円)は解除後1年で終了。1年以内に戻った人には早期帰還者賠償(一律90万円)が支払われる。
※●は日ヘンに景
(カテゴリー:福島第一原発事故)