田村市の冨塚宥●市長は1日の同市都路町の避難指示解除を前に福島民報社のインタビューに応じ、復興への決意や課題を語った。
-避難指示の解除を迎える思いは。
「古里に戻る人にとって第一歩だ。『都路の復興なくして田村の再生なし』という姿勢で復興に進む。解除時期をめぐっては住民に賛否両論あるが、避難が長期化すれば地域は崩壊しかねない。帰還を3年間願い続けた住民もいる。4月1日は妥当な線ではないか」
-帰還や復興にはどんな課題があるか。
「教育や雇用、健康管理など多様な要望が出るだろう。帰還できない人も含め、住民の声を丁寧に聞く。市ができる課題は自力で対応し、国や県などと共に解決していく」
-精神的賠償が解除後1年で終了する。
「旧緊急時避難準備区域(原発から30キロ圏)の精神的賠償は24年8月で終了しており、賠償の格差が両区域の住民に分断を生んでいる。住民には厳しい条件かもしれないが、やむを得ないと思う。どこかで区切りは必要だ」
-どの程度の帰還者を見込んでいるか。
「動きださなければ分からないが、解除当初に戻る人は少ないだろう。都路町の大半を占める旧緊急時避難準備区域を含め、最低でも6割が戻らなければ復興は果たせない。帰還者が少なければ従来の集落単位の力は弱まる。空き民家を交流拠点に活用するなど新たな居場所づくりも目指す。戻ろうと思える地域を築いていく」
※●は日ヘンに景
(カテゴリー:福島第一原発事故)