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【汚染水漏れ発覚1年】 地下貯水槽 使用見通せず 暫定保管の雨水 行き場なし 東電、補強入れず

 東京電力福島第一原発内の地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚して5日で1年を迎える。東電は7つある地下貯水槽を補強し、放射性物質濃度が高い汚染水を保管する方針だが、暫定的に収めた雨水の移送先が確保できず着工の見通しは立っていない。原子力規制委は低濃度の水の保管に活用するよう求める一方、県は漏えい対策を講じていない貯水槽の使用そのものに反対している。

規制委と県 見解割れる

■緊急避難
 1~7号地下貯水槽の3月24日現在の貯水状況は【図】の通り。総容量5万8000トンに対し、6・6%に当たる計3855トンの雨水が貯蔵されている。
 東電は昨年4月の漏えい発覚後、7つの貯水槽全てを空にした。その後、昨年10月の台風に伴い、排出基準値を上回った雨水を緊急避難的に入れた。貯水槽の補強工事に入るには、雨水を他の場所に移す必要がある。しかし、受け入れ候補となる地上タンクには、1日400トンずつ増える高濃度の汚染水を優先的にためているため、雨水の行き場がない。
 東電は貯水槽を高濃度の汚染水の保管場所として再利用するため、3枚の防水シートのうち、厚さ不足が指摘されている外側のシート交換などを予定している。

■活用求める声
 原子力規制委は3月上旬、汚染水から大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)で処理した低濃度の水の保管場所として地下貯水槽を挙げた。規制委の更田豊志委員は「汚染水やALPSの処理水をタンクに満杯近く入れれば、漏水の危険性が高まる。環境への影響が少ない処理水は貯水槽で保管し、タンクの水漏れのリスクを減らすべき」と説明する。今後、汚染水対策を検討する作業部会で、活用に向けた議論を本格化させる方針だ。
 一方、県は昨年4月の漏えい発覚以降、貯水槽の使用を認めないという方針を変えていない。雨水の貯蔵についても「望ましくない状態で、早く地上タンクなどに移送すべき」と求めている。
 貯水槽の活用について、経産省資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対策室は「水漏れの起きた貯水槽は、信頼を失ったままだ」として県と同様、活用に反対の姿勢を示している。

■貯蔵できず痛手
 汚染水を貯蔵している地上タンクは約1100基ある。東電は2日に1基のペースでタンクを建設し、日々増える汚染水の保管に対応している。
 7つの地下貯水槽の総容量は地上タンク約60基分に相当する。高濃度の汚染水の貯蔵に使用できない状況は、東電にとって大きな「痛手」だ。
 東電の福島復興本社福島広報部は「現在のところ活用する予定はない」とした上で「(規制委などの)指摘を踏まえ、当社の考え方をまとめたい」とするにとどまっている。
 汚染水の貯蔵方法をめぐっては、有識者から新たな手法が提案されている。県原子力対策監の角山茂章元会津大学長は2月の原子力規制委の部会で、頑丈で漏えいの危険性の低いコンクリート製タンクの導入を求めた。県は「長期保管にはコンクリート製の方が望ましい」としている。

【背景】
 福島第一原発内の地下貯水槽は昨年2月、応急的に建設された。同4月上旬、最初に2号貯水槽で汚染水の漏えいが発覚。その後、3号、1号貯水槽でも相次いで漏水が確認された。トラブルを受け、茂木敏充経済産業相は全ての貯水槽の使用中止を東電に指示した。しかし、東電は昨年10月の台風で、地上タンク群の周囲のせきにたまった雨水のうち、排出基準値を上回った分を緊急対応で入れた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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