県廃炉安全監視協議会は2日、東京電力福島第一原発で現地調査を行い、地下水バイパスの放水手順や、大部分の放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)のトラブル防止対策を確認した。
現地調査には、放射線防護や原子力工学などの専門家で構成する専門委員や県、関係市町村の担当者ら約25人が参加した。
地下水バイパスについては、一時貯留タンクに保管されていた地下水を海に放出するためのポンプの起動状況などを確認。地下水が長さ約1・2キロ、直径20センチの放水管を通じて海に放水される様子も視察した。
ALPSのトラブルの原因となっていたフィルターの改良については、東電の担当者から説明を受けた。凍土遮水壁の実証試験現場では、凍結管によって凍った土を工具を使って確認した。
視察後は東電と意見交換した。専門委員からは、凍土遮水壁や地下水バイパスによる地下水位への影響や情報公開などに質問が出た。地下水の管理について小野明所長は「(地下水バイパスや凍土遮水壁による)効果を見ながら、(対策を)総合的に判断したい」と述べ、水位計の追加などで状況を的確に把握していく考えを示した。
県原子力安全対策課の渡辺仁課長は、凍土遮水壁の設置工事における埋設物への配慮や、地下水バイパスの運用基準の順守などを求めた。その上で、「県内では住民の帰還へ向けた動きが進みつつあるが、原発事故収束は復興の大前提。安全に配慮した廃炉作業に取り組んでほしい」と話した。
小野所長は「スピーディーで分かりやすい情報発信に努め、県民や社会の安心を確保していきたい」と述べた。
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