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「復興牧場」が着工 福島 避難の酪農家運営

工事の安全を祈りくわ入れをする但野組合長

 東京電力福島第一原発事故による避難で休業中の酪農家が運営する「復興牧場」の工事安全祈願祭は22日、福島市土船の現地で行われた。乳牛580頭を飼育できる県内最大規模の施設となる。
 県酪農業協同組合が、約3.6ヘクタールの敷地に搾乳牛舎、飼料倉庫などを整備する。
 総事業費は17億6600万円。造成、設計、施設建設費の約八割を国の東日本大震災農業生産対策交付金で賄う。農林中央金庫が約7億円を融資する。来年4月に生乳の生産を開始し年間5千トンを出荷する予定。
 南相馬、浪江、飯舘の3市町村の酪農家5人が4月に設立した新会社・フェリスラテが牧場を運営する。会社名は「幸福」を意味する「フェリス」と「牛乳」の「ラテ」のイタリア語を組み合わせ、「牛乳生産を通じ福島を幸せにする」との思いを込めた。
 祈願祭には関係者約50人が出席した。県酪農業協同組合の但野忠義組合長がくわ入れをして工事の無事を願った。
 県内では震災前に525戸あった酪農家が320戸に減り、うち63戸は避難により休業している。乳牛頭数、生乳生産量とも原発事故前から二割近く減った。

■運営会社社長に田中さん(飯舘) 「これが復興の天王山」
 牧場を運営する新会社・フェリスラテの社長には飯舘村の田中一正さん(43)が就いた。「これが復興の天王山。震災での悔しさをばねに成功させたい」と決意を新たにした。
 原発事故発生当時、飯舘村で乳牛45頭を飼育していた。事故後は福島市に移り、避難を強いられた酪農家が設けた「ミネロファーム」(福島市)の牧場長を務めた。復興牧場着工に当たり「プレッシャーでつぶされそう」と胸の内を明かす。
 東京都出身。30歳の時、村で新規就農した。村内長泥地区の自宅は帰還困難区域にある。それでも「将来は村で再び牛を育てたい」と夢を抱く。
 復興牧場は県内最大規模となる。酪農は全国的に後継者が減っており、「大規模、共同経営のモデルになり、若い人が酪農に参加しやすい環境をつくりたい」と力を込めた。

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