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放射線 放射性物質 Q&A チェルノブイリ事故後、被ばくによる遺伝的影響は

 広島と長崎の原爆被爆者で遺伝的影響は観察されていないと聞いたことがあります。チェルノブイリ原発事故での内部被ばくによる遺伝的影響はどうなのでしょうか?

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー長崎大教授 高村昇さん

■科学的に証明されていない福島県内でも考えにくい

 広島、長崎の原爆投下後、放射線が被爆者の子ども(いわゆる被爆二世)で、これまでに調べられた限りでは遺伝的な影響は見いだされていません。また、被爆者の子どもの死亡やがん発生、あるいは生活習慣病の発生に関する追跡調査が現在も継続して行われていますが、これまでのところ、いずれも被爆二世の人で増加が証明されていません。
 同様に、これまでチェルノブイリ原発事故後に生まれた被災者の子どもでも遺伝的な影響は見いだされていません。さらに、原爆被爆者やチェルノブイリの被災者の子ども以外の「ヒバクシャ」への調査でも、これまでヒトでは遺伝的影響は科学的に証明されていません。
 動物実験でも骨髄や甲状腺のような体の臓器細胞(体細胞)が被ばくしても、放射線による被ばくの影響は次の世代に伝わりません。その一方、精子や卵子といった生殖細胞が高い線量を被ばくした場合、次の世代に引き継がれ、染色体障害などが見られることが分かっています。
 ヒトに放射線による遺伝的影響が認められていない理由はいくつか考えられます。動物と違って人間は生涯の出産数が極めて少ないため、被ばくなどによって遺伝子に傷が付いた精子や卵子は、受精から出産までたどりつかないことが原因の一つではないかと考えられています。まして福島県内での被ばく線量は広島・長崎やチェルノブイリと比べてかなり低く、遺伝的影響は考えにくいと思われます。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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