福島市で9日に開かれた福島復興再生協議会で、佐藤雄平知事は平成27年度までとなっている「集中復興期間」の延長を政府に要望した。協議会終了後の記者会見で、根本匠復興相(衆院本県2区)は「事業の進捗(しんちょく)を見ながら財源の在り方を検討したい」と述べ、必要な事業については財源確保を検討する考えを示したが、期間延長は明言しなかった。
協議会は冒頭以外、非公開で行われた。佐藤知事は協議会終了後、記者団に対し「集中復興期間が終わっても、それぞれの地域で復興はまだ途中だ。(地域再生に向けて)大事な事業も出てくる」と強調。政府に対し、期間延長を含めた柔軟な財源確保を要望したことを明らかにした。
政府は東日本大震災から10年間を「復興期間」、このうち前半の5年間を「集中復興期間」と位置付けて被災地に財源や人材を集中して投入する方針だ。総額25兆円の予算枠を確保し、被災自治体が実質的に負担なしで事業を進められるよう復興交付金を配分している。
ただ、本県をはじめ、岩手、宮城など被災県では復興事業の集中に伴う人材不足や資材高騰による入札不調などで、事業が思うように進まない事態も出ている。
東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域が設定された本県は地域や産業の再生に他県よりも時間を要するとみられ、集中復興期間終了後も十分な予算を確保できるかどうかが課題となっている。
協議会で佐藤知事が最重点項目として要望した「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」については、根本復興相が政府側として推進体制を整える考えをあらためて示した。
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