東日本大震災

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「スマート農業」導入促進 来年度から県モデル事業 省力化で営農再開支援

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの農業再生に向け、県は情報通信技術(ICT)や再生可能エネルギー、ロボット技術を活用し農作物を効率的に生産する「スマート農業」の導入を促進する。省力化と収益性の高い農業を確立し、原発事故の影響で土地が使えず、働き手の少ない避難区域や津波被災地などでの農業再開を支援する。住民帰還も促す。平成27年度からモデル事業を始め、将来は全県への普及を目指す。
 情報通信技術で植物工場などの施設内の温度や湿度などの生育条件を管理する。導入により、生育条件の異なる複数の農作物・花卉(かき)の同時栽培が同一施設内で技術的に可能になる。市場の需要に応じた作物を生産し、収益性を高める。
 運用には太陽光発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーを取り入れ、環境に負荷を与えない農業を目指す。バイオマス発電で出た熱を再利用した栽培方法も研究する。
 ロボット技術を活用した農業機械の開発は、27年度に県が南相馬市に開所予定の「浜地域農業再生研究センター(仮称)」を拠点に民間企業と進める。わずかな力で足や腕を動かせる医療用ロボットスーツの農業への応用や、遠隔操作する耕作機などの農業機械開発による省力化を想定している。高齢者や女性による営農、少ない人手での大規模農業化も支援する。
 県は関連産業の集積で、雇用の創出や住民の帰還につなげる方針。また、少子高齢化が進む会津地方の中山間地域などでも普及を進め、県内農業の振興に結び付ける考えだ。
 モデル事業では、耕作放棄地を買収して植物工場や農業施設を整備する。大熊町が復興拠点とする大川原地区で整備を検討している植物工場などでの実施を想定する。同地区で東京電力が26年度末の完成を目標に建設している福島第一原発の作業員向け給食センターで、収穫した作物を消費するなど地産地消も視野に入れる。
 県は政府にモデル事業の関連費用を27年度予算の概算要求に盛り込むよう求めている。県企画調整課は「できるだけ早く実用化し、本県の農業再生につなげたい」としている。ただ、農家が導入する際の負担は大きいとみられ、補助などの支援が課題となりそうだ。
 浜通りの22年2月時点の農家は1万4724戸。このうち、震災や原発事故で8320戸が被災した。今年2月現在、営農を再開したのは2110戸で被災農家の4分の1にとどまる。

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