東日本大震災アーカイブ

復興担う若者躍動 希望を世界にアピール

エッフェル塔近くのステージで元気いっぱいにキビタンダンスを踊る生徒ら

【フランス・パリで本社取材団】「私たちの力で福島を復興に導く」。福島大のOECD(経済協力開発機構)東北スクールが30、31の両日、パリのシャン・ド・マルス公園で催した東北復幸祭「環」で、本県をはじめ東北の若者は苦境から立ち上がる希望を世界にアピールした。スクールの生徒や福島民報社の「ふくしま復興大使」がパリの舞台で躍動し、復興への思いを一つにした。
 エッフェル塔近くの舞台で繰り広げられた県のコーナーでは、東北スクールの生徒や、復興大使の込堂(こみどう)あす美さん(12)=浪江町、原町二中1年=、中村圭佑君(17)=いわき市、平工高3年=、畠山せえなさん(17)=猪苗代町、郡山高3年=ら約20人が県のマスコット「キビタン」とダンスを披露した。
 県は「ふくしまから はじめよう。」をテーマに、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故からの復興への歩みと本県の魅力をフランス語で発信。中村君は「パリで福島の仲間と元気よく踊ることができ、うれしかった」と声を弾ませた。

■ふくしま復興大使 本県出身者らと交流
 東北復幸祭の福島民報社ブースには本県出身者、勤務経験者らが訪れ、ふくしま復興大使と交流した。
 福島市出身でマルセイユ在住の安田共さん(48)は夫のファブリス・デルストルさん(50)と一緒に訪れた。安田さんは東日本大震災の発生から約2カ月後、両親が暮らす福島市に駆け付けたことを振り返り、「大変な状況の中にいた子どもたちが成長し、福島のために力を尽くしている姿を見られてうれしい」と話した。ファブリスさんは「妻の古里で暮らす皆さんに、これからも頑張ってほしい」と思いを寄せた。
 在フランス大使館広報文化部一等書記官の田中義恭さん(39)は平成20年4月から震災発生後の23年7月まで、文部科学省からの出向で県教育庁教育総務課長を務めた。ブースに展示された福島民報社の報道写真を見ながら、「福島は第二の古里。震災をきっかけに福島への思いが一層、強まった」と語った。
 パリ赴任後も、県が現地で開いた復興を伝えるレセプションや、本県とフランスの子どもの交流などを手伝っている。田中さんは「これからも福島の魅力を海外に発信できるようサポートしたい」と誓った。

復興大使の畠山さん(左)、込堂さん(右)と交流した安田さん(中央左)とファブリスさん