東日本大震災アーカイブ

長引く仮設暮らし いまだ2万6000人余 老朽化対策が急務

双葉町の住民が避難生活を送る仮設住宅で、壁や屋根などを点検する作業員=昨年12月、福島市

 県内では、いまだ2万6千人余の被災者が仮設住宅で暮らす。応急措置として建設された一時的な住まいは、各世帯間のプライバシーや老朽化など問題を抱える。災害公営住宅の建設は遅れ気味で、仮設からの移転に影響を及ぼしている。原発事故によって避難生活の長期化が避けられない被災者も多い。体調を崩し、命を落とす関連死は増え続けている。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う被災者が暮らす仮設住宅は8月29日現在、25市町村に1万6782戸建設されている。大部分が災害救助法の原則2年以内とする入居期間を過ぎており、老朽化対策が急がれる。

 市町村別の仮設住宅の整備状況は【表】の通り。1万2997戸に2万6236人が入居している。県は5月に入居期間を1年間延長し、平成28年3月までとした。県は仮設住宅の耐用年数を阪神・淡路大震災を例に「5年が限度」とみているが、経年変化による建物の損傷は進んでいる。

 県は昨年に続き、9月末までの三カ月間にわたり県内各地の仮設住宅で一斉点検を実施している。出入り口のスロープや雨どいなどで見つかった損傷を補修する。

 さらに、避難の長期化によって体調を崩した住民や高齢者からは、手すりや緊急通報装置の設置を求める声が上がる。県は住民の要望に応じ、各地で対策に取り組んでいる。

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