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大学、行政中心に拠点整備を 甲状腺病理学の国際的専門家・トーマスさん(英国)に聞く

放射線のリスクコミュニケーションの重要性を語るトーマスさん

 英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン分子病理学部長で、チェルノブイリ組織バンクの所長を務める理学博士のジェリー・トーマスさん(甲状腺病理学専門・英国)は14日、福島民報社のインタビューに応じた。東京電力福島第一原発事故による放射性物質への理解を深めるためのリスクコミュニケーションについて、大学や行政機関などが中心となった拠点を設けるべきとの考えを示した。
 -原発事故から3年半が過ぎた。現状をどう見るか。
 「科学的な知見から福島の原発事故の放射線による健康被害はないレベルと考えられる。放射性物質を気にするストレスの健康への影響の方が心配される」

 -原発事故発生時、18歳以下だった37万人を対象にした甲状腺検査で、6月末までに受診した約30万人のうち、104人が甲状腺がんや疑いと診断された。
 「これまで、これほど多くの人を対象にした甲状腺検査はなかった。食べ物を飲み込みにくいなど自覚症状が出て検査、手術するのが一般的な流れ。高精度で多くの人を検査しているため、調べなければ分からなかった患者が見つかる可能性が高まる。環境省が福島県の甲状腺検査結果と比較するため青森、山梨、長崎の3県で実施した甲状腺検査では、調査対象数は異なるものの、がん患者の割合が同程度だった。原発事故の影響は非常に低いと考えられる」

 -今後、検査の在り方や健康管理に必要なことは。
 「放射線への不安がストレスの原因になっている。対応策として、外部被ばく線量や食品の放射線量を自身で測るなど具体的な対策がさらに必要になる。リスクコミュニケーションを充実させるため、社会的に信頼性の高い、大学、行政機関などが中心となって住民との意思疎通に積極的に取り組むことが重要だ」

カテゴリー:福島第一原発事故

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